大判例

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仙台高等裁判所 昭和26年(う)761号 判決

刑法第三十九条第二項にいわゆる心神粍弱者とは、心神の障碍により事物の理非善悪を弁識する能力又はこの弁識に従て行動する能力が著しく減退した状態にある者をいう。即ち心神耗弱者と雖も、所論のいわゆる道徳的価値判断能力又は意思決定能力を全然欠くのではなく、著しく減退した状態にあるとはいえこれを有するのである。従て、原判決がその判文において、「被告人が各犯行当時心神耗弱の状態にあつた」と判示すると共に、他方判文動機の説明において、「遠藤習に殴られたことに対する憤怒自己の一身上のことについての世間の悪評等彼此考えた末、自暴自棄となり、いつそこの家に火をつけて焼いてしまおうと決意し」「眠られぬままに階下で思案に暮れているうち右の自己の犯した罪の恐ろしさに思い及び、むしろ家諸共焼死しんでしまおうと決意し」と判示したとて、直ちに、所論の如く右後段は行為当時被告人の精神状態が常態である者としての判示であつて、被告人を心神耗弱者とする前提的判示と矛盾するもので、その間推論上の誤があるとはなし難く、原判決には所論のような違法があるとはいえない。

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